ともぞー。介護医療の奮闘記

【介護支援専門員/介護認定調査員/リハビリテーション専門職/福祉住環境コーディネーター2級】

【介護保険制度の3つの基本理念】について

ケアマネジャーとして奮闘中のともぞー。です。

日々仕事に追われていると、「自分は何の仕事をする人間なのか」「自分の職種の職域はどこまでなのか」などなど、よく分からなくなってしまうことがあるかと思います。

 

そこで今回は、私たちケアマネジャーが働く上での指針となる「介護保険制度」についてまとめ、特に大事になる「3つの基本理念」について紹介していきます。

 

介護保険制度には「理念」があります。

理念は建物で言う「柱・軸」の部分に相当しますので、理念が定まっていないとぶれやすく周りに流され、正しい判断ができなくなってしまいます。

 

考えがブレたものでは、市場価値がなく徐々に衰退してしまいます。

介護業界で働く者としての立場を守るためにも、介護保険制度を理解しておくことは非常に大切なことと考えます。

twitter.com

 

理念1.利用者本位

介護サービスを提供する側として、自分たちの価値観を押し付けてはいけない。ということです。

この理念の解釈で間違いやすい点として「利用者の言う通りにすればいい」と思ってしまうことがあります。

確かに利用者本位を考える上で、利用者の希望通りにすることも大切です。しかし介護保険制度における利用者本位では「生活の質(QOL)」「尊厳の保持」と言う視点を持つことが大切です。

例えば何日も入浴をせず、清潔を保てていない高齢者がいたとします。本人はお風呂を嫌い、入浴サービスを利用することを拒んでいます。

ここで「利用者の言う通り、お風呂に入らなくてもいい」と考えてそのまま放置してしまうと、入浴しないことで生じる「皮膚疾患」「感染症リスク」「異臭による周りへの影響」などを見落とす可能性があります。

お風呂に入らないという選択がQOLや尊厳の保持の視点として適した選択であるのか。その状態を続けることで悪化の方向に進んでしまうものはないか。など、あらゆる可能性を想定しつつ利用者の意向に沿った形の対応方法を提案する必要があります。

これは簡単なことではなく、日々悩むことの一つでもあります。

 

この利用者本位という言葉は、解釈する範囲が広すぎて少し分かりづらいかもしれません。そこで私は、この言葉を「利用者が大事にしていることを、大切にする」というように捉えるようにしています。

 

利用者が何を大事にしているからお風呂に入りたくないのか?

ゆっくりした時間を過ごしたいから?

人に見られることが嫌なのか?

寒くなることが嫌なのか?

 

あらゆる可能性を考え、対話の中で意思疎通を図っていきます。

 

理念2.利用者の選択の尊重

利用者本位と重なる部分はありますが、「利用者自身が選んだことを大切にする」ということです。

ここで注意する点としては、「利用者が直感で選んだことを良しとするわけではない」ということです。

例えば、知らない道を歩いている時に「次の道を右、左どちらへ行きますか?」なんて質問されても、答えようがないですよね。

左右の道はそれぞれどのような道で、どのような所へ着くのか、それを事前に教えてくれるだけで安心できるものです。

利用者の選択した意思は尊重すべきですが、選択肢それぞれに対して専門職である和たちたちが情報を伝えていくことがとでも重要です。

特にメリットやデメリットに関しては、専門職でなければ気付けない部分があります。

どちらの道を進んだとしても、それぞれにメリット、デメリットがあることを十分に説明した上で、利用者に選択をしてもらうことが大切です。

また、私たちが関わることでどちらかの道に誘導してしまっていないか、常に中立に立場で話を進めていくという意識も大切です。

 

理念3.自立支援

介護保険制度において、この自立支援という理念が一番重要であると、私は考えています。

介護というと「相手の代わりにおこなうこと」「お世話をしてあげること」というイメージがあるかもしれませんが、実際には自立支援をおこなっています。

利用者の持つ能力に応じて不足している部分は援助しますが、それ以外の自分でできることは方法を検討し自分でおこなってもらう。この考え方があるのとないのとでは、関わり方が全く変わってきます。

ただ、自立には様々な意味があります。

身体的自立、経済的自立、精神的・人格的自立など、見るべき視点は多岐に渡りますが、介護保険制度では特に「精神的・人格的自立」が重要と言われています。

例えば、体の自由は効かないけれど、ご飯は家族に作ってもらい、欲しいものは家族に頼んで買ってきてもらえる。このようなケースの場合は、身体的や経済的には自立していないものの、自分の意志でやりたいことを決めることができているため、精神的には自立していると言えるでしょう。

身体面や経済面での自立を考え出すと、際限がありません。この両方ばかりに着目してしまうと、自立支援の方向性を見失ってしまいます。

「自分がやりたいことを、いつでも自分で決めることができる」

この考えに対し、私たちは何の支援ができるのか。この考え方が大切です。

 

まとめ

介護保険制度には

1.利用者本位

2.利用者の選択の尊重

3.自立支援

この3つの基本理念があります。

 

介護保険サービスには様々なものがありますが、全てこの理念に則って動いています。

自分が何をしているのか分からなくなった時、この3つの理念のことを思い出すと方向性を見失わずに済みます。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

ともぞー。